2024/11/18 16:45



朝の工房は寒い。差し込む朝日の中に凛とした空気が張りつめて、背筋がぴんと伸びるような気がします✨


この10年余りビルダーの横で見ていただけですが、エフェクターというこの小さな機械が出来上がるまでの過程を、何となくまとめてみたくなりました。


電子部品を実装した基板を組み込んだだけの、ただのちっぽけな箱。

でもそのちっぽけな箱が、楽器の持つ音色、密度、奥行き、芯、立体感、まとまり、減衰時の音の変化等、全ての音の要素に変化をもたらすとしたら、それは何と不思議そして夢幻的❗

そんなわくわくした瞬間をお伝えできたらと思います😊


ビルダーは、新作のイメージが湧くと先ず回路設計に取り掛かります

その時は誰にも言わず机に向かうのですが、背中からめちゃめちゃ話しかけるなオーラが出まくるので、こちらは当たらず触らず、そっと引き揚げます。

エフェクター製作の基幹とも言えるこの作業、緊張が伝わります。


綿密な計算を重ねながら、パーツの数値を決めていくらしい

デシベル

インピーダンス

増幅率

等価回路

カットオフ周波数、等々…

色々な計算式があるらしいのですが、自分には???デス😅


側に人がいると気になるのか、彼が設計するのは主に深夜。

脳みそフル回転で集中していた様子は、翌朝の吸殻の量が物語っています。

気付くと、机に手描きの回路図が載っていました。

早い!


回路設計が出来上がると、それを元に

試作

パーツの数値は決まっても、メーカーや種類の違いによって僅かな差が出てきます。

普通の耳では聞き取れないほどの違いですが、求める音の基準に達するまで、パーツを差し替えつつ試します。

手間も時間もかかるところですが、ビルダーにとっては一番楽しい作業のようです😁


やがて、プロト第1号完成!

ビルダーは、それを持ってセッションへ行きます

これからが正念場!

ツマミを細かくセッティングしつつ、ビルダー自らアンサンブルの中で試す。

これがうちのやり方です。

工房の中で出来上がった音は完成された音ではありません。

ドラムやベースの中でどう聞こえるか。

歪んだ音は?

クリーンな音は?

あらゆる場面で使える音なのかどうか。

ビルダーの考える厳しい音の基準に合致するかどうか。

納得できなければやり直しです。

パーツの定数を変え、プロトの手直し。

そして再び挑戦。

何回も何回も何回も、トライアンドエラーの繰り返し。

長い時は、数ヶ月に及ぶ時も。

忍耐力と体力がすり減る日々です。


うちのペダルは、ここに一番時間をかける

と、ビルダーは申します。

諦めの悪い、しつこい性格が功を奏して(笑)、長い挑戦の末ようやく合格点を出せる試作が完成!


セッションで「イケる!」と感じると、念の為(?)OKだったプロトと同じ物をもう1台作るんです。

パーツの個体差を懸念してのこと。

この時は、スタッフにもこの2台の音を聞き比べさせます。何故か素人の感覚も参考になるみたいです😅

2台に違いがなければこれで決定❗


その後は、パターンの書き起こし→基板の発注へと進みます。

同時に筐体の色とデザインを決定。

必要パーツの発注

ケースの穴開け

筐体の塗装依頼


発売日を決めて、Go


基板が届いてからはひたすら中身を作ります。

サンプルを組み上げて、説明書を作って、写真を撮って、代理店に送ってetc.


こんな長い道のりを経て、うちのペダルは楽器店様の店頭に並ぶことになります。


長文お読みいただき、ありがとうございました🙇


新春の新作第一号、お楽しみにお待ちくださいませ💕